精神科専門医、精神保健指定医として、統合失調症や双極性感情障害等のコモンな精神疾患から、認知症、発達障害といった器質性疾患、PTSD、解離性障害、依存症まで、精神科単科病院で入院・外来問わず幅広く豊富な経験がございます。心理臨床、産業保健においても、領域を超えてこうした経験を活かしています。
産業保健と精神科医
精神医療のスキルは、産業医として非常に重要だと感じます。私個人が感じる精神科医が産業医を行うメリットとしては、
・様々な方に合わせた面談の実施
・休復職における状況の把握、スムーズな休復職の実践
・発達障害等の見立て、適正配置
などがざっとあげられるのではないかと考えます。
ある程度熟練した精神科医であれば、発達障害の有無、精神疾患の重症度といったものは、面談の当初から肌感覚で感じられるものです。もちろん、そうした直感を従業員の方にそのままお話しすることはありませんが、来談者の方のお悩みにすっと近づいたり、会社の困りごとの解決の糸口になったり、わたしの産業衛生活動の基礎をなす部分でもあります。
精神医療と心理支援
精神科医と心理士とは、一般の方が想像されるよりも近くて遠い職業です。医療機関で勤務する臨床心理士の方は約30%といわれており、そのほかの教育、福祉、産業、司法領域で働く方や個人開業の方が約70%を占めています。
また、精神科医の役割の多くが投薬治療や短時間の面談となりがちな一方で、長時間の面談が可能で、長期的な支援が主である心理士とは支援構造が異なる側面があります。加えて、精神科医のトレーニングの中で心理支援について学ぶことは少ない、もしくは皆無な現状があります。こうした枠組みや教育システムの違いから、ディスコミュニケーションが生じることは多く、心理支援の知識が十分あることは、質の高いチーム医療、精神医療を提供するうえで非常に役立っています。