Somatic Experiencing

 Somatic ExperiencingはSEと略され、ピーターラヴィーンによって開発された身体感覚を用いた心理療法です。眼球運動など特定の部位に限らない身体感覚を用いたセラピーの中では、最も普及し、また注目を浴びている物であろうと思われます。

Somatic Experiencingのメリット

 身体感覚をベースにしたアプローチが可能であり、トラウマ場面の想起や交渉などをほとんど必要としません。認知や行動、感情といった他のモダリティにアプローチする心理療法は、解離の問題にアクセスするために催眠や曝露などのひと工夫が必要ですが、そうした必要もありませんし、本人が想起しがたい部分の問題にアクセスしていくことも可能です。

Somatic Experiencingのデメリット

 多くの場合長期にわたるセッションが必要です。単回のトラウマであれば、どの心理療法を用いても割合すぐに解決しますし、複雑性PTSDや愛着の問題では何を用いてもすぐ解決するとはいきませんが、Somatic Experiencingでは日常生活に変化の見えにくい時期が長いため、クライエントさんに忍耐が必要でしょう。必要だと感じます。特に、認知や行動の変容を促す心理療法の併用が望ましいです。

Somatic Experiencingの向いている人

 催眠や曝露といったアグレッシブなアプローチが苦手な方にとっては、かなり受けやすい、クライエントの負担の少ない心理療法になるでしょう。単回のトラウマ(いわゆる単純型PTSDの方)にも向いています。他の心理療法やカウンセリングが合わなかった方には向いています。ただし、変化の速さと治療期間は反比例しますから、現実的に言えば、金銭的に余裕がある方、急がない方でしょう。