臨床催眠

 催眠は臨床心理学の最も古い研究テーマであると言えますが、結果の不確実性やクライエントを「操作」するという誤解から、20世紀初頭より常に心理学の裏街道を歩んできました。一方で、現代のトランスを活用した心理療法の隆盛から、催眠の構造や技法を学ぶことの重要性は極めて高くなっているように感じます。

臨床催眠のメリット

 臨床催眠の手続きの一部は多くの現代的な心理療法の中に組み込まれているので、セラピストのトレーニングとしては極めて有用です。催眠では注意の焦点化やトランスロジックといったことが実現できるため、トラウマを比較的安全に取り扱うには有用でしょう。

臨床催眠のデメリット

 臨床家によって技量の差が大きいこと、社会的に常に懐疑の目を向けられてきたことは臨床催眠を用いるうえでのデメリットといえるでしょう。また、治療的に用いるためには、結果の不確実性を乗り越えるためにかなりの臨床家の技量が必要です。

臨床催眠が向いている人

 催眠技法のみを用いて症状の治療を受けたいという方は、どちらかといえば好奇心からそういったことをご希望になる印象があります。こうした好奇心は催眠の治療効果を高めるうえで非常に有用ですから、好奇心の強い方が向いているというのは言えると思います。