認知行動療法は臨床心理学のメインストリームであり、認知療法や行動療法などの集合知となっているため、一口に認知行動療法といっても多様な認知行動療法が存在します。認知と行動を変容することにより、感情面の馴化を図るという基本構造は概ね同じですが、Unified protocolのように身体感覚曝露を加えて身体感覚にもアプローチするものや、マインドフルネス認知行動療法などもあり、細かく見ていくと多様な世界が広がっているようです。
認知行動療法(CBT)のメリット
どんな心理療法を行うにせよ、認知と行動の変容は最終的に起きてくる必要があります。トラウマ治療は感情や身体感覚にアプローチするものが多いですが、認知や行動の変容が生起しない際には認知行動療法的なアプローチが必要であると思います。また、治療法としてのエビデンスの集積が最も多いこともメリットといえます。
認知行動療法(CBT)のデメリット
率直に言って、認知行動療法で症状が改善するなら、他の現代的なトラウマ療法でより早く治療ができるでしょう。また、持続エクスポージャー法等の例があるように、曝露が治療として機能するのは確かですが、トラウマ治療の文脈においては曝露はより安全に、少量で行うことでクライエントのペースで行う方が、治療の継続性やクライエントの負担を考えるとよいと考える治療者が増えているように思います。
認知行動療法(CBT)が向いている人
補助として用いるのであれば、どんな人でも活用できますが、メインで用いるとしたら、あまり問題が大きくない方の方が問題の改善が期待できるでしょう。