臨床心理士

 臨床心理士を取得したのは、精神科医のトレーニングが進む中で心理領域の知識、研鑽の必要性を痛感したことがきっかけでした。トラウマ関連の多くの心理療法を学ぶ中で、心理学についての広範な知識形成の必要性を感じ、心理の大学を卒業し、大学院修士課程にも進むことになりました。

精神医療と臨床心理士

 精神医療の世界で臨床心理士を持っていたり、心理学のトレーニングを積んでいるということは、臨床心理士の方々との連携を容易にします。ある程度同じバックグラウンドを持って症例を検討することができます。とかく、精神科医と臨床心理士は同床異夢というべき世界を過ごしていますが、お互いの強みを生かしていくには、お互いの差異について知っておくことはとても重要であると思います。

産業衛生と臨床心理士

 臨床心理士が産業衛生に関わることは存外に少ないものです。一つには、産業カウンセラーという民間資格があり、大学院で専門的な心理学のトレーニングを受けていなくてもカウンセラーとして活躍していく方がおられること、もう一つにはEAPの活用について会社側に十分な知識や経験がないことも多く、専門的な心理支援が必要とされにくいため、臨床心理士の教育過程でも産業心理が軽視されがちな側面があるからです。コミュニティ心理学やブリーフサイコセラピー等の産業領域との相性の良い部分を活用した、産業領域における心理支援の実現を目指しています。